スイス水泳連盟では東京オリンピックの事前キャンプ地選定にあたり、静岡県富士市に「極めて優れたオリンピック水準のプール施設がある」との情報を把握していました。ところが同プールについて欧州の水泳界では「どこか別の国との交渉が決定段階にあるらしい」との“ウワサ”があることも知り得ており、「富士市のプールは素晴らしいが我々が使えるチャンスはないだろう」と諦めていたと言います。
ところが、富士市が突如「スイス水泳チームさんが合宿を希望されているなら、ウチにぜひ」と受け入れの意向を表明。歓喜に沸いたスイス側はすぐさま、交渉の取りまとめのために総監督であるマルクス・バック氏の富士市派遣を決定しました。
バック総監督は2018年6月に来日し、富士市北部の高台にある「静岡県富士水泳場」を訪れました。視察中は「素晴らしい」との言葉を連発。同日中に富士市との間で「事前キャンプの利用国としてスイスに優先交渉権を与える」旨の署名も行いました。これをもってスイス水泳連盟と富士市との「タッグ体制」が結ばれたわけです。
署名の翌日、バック総監督は富士市隣接の富士宮市にある浅間大社と富士山世界遺産センターを訪問。浅間大社では、遠足に訪れていた県下の小学生たちから大歓迎され、そこにいた全員からサインを求められるという微笑ましいハプニングもありました。総監督は身長190cmを超える長身で日本人の目には”イケメン”に映る美男です。子供たちが取り囲む姿を見た富士市の関係者は「合宿の成功を確信した」と後に語っています。
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