コロナ禍で翻弄されたオリンピックイヤーの事前合宿

アクティビティ
2023/06/30

2019年に発生した新型コロナウイルスの感染拡大は、富士市におけるスイス水泳連盟による事前合宿の実施にも大きな影響を及ぼしました。2020年夏に実施される予定だった、東京2020オリンピック・パラリンピックは同年3月に翌年への延期が決定。これを受け、さまざまなプランがいったん白紙からのスタートを余儀なくされました。

 
当初、2021年春に東京2020オリンピックのプレ大会として実施されるオリンピック最終予選に向け、富士市での事前合宿が予定されていました。ところが、新型コロナウイルスの感染拡大防止のために選手団の入国の調整がつかず、合宿を中止せざるを得ませんでした。この年の夏には異例の原則無観客でのオリンピックが東京で実施されましたが、富士市ではさまざまな感染対策を取った上で事前合宿を実施することができました。

 
しかし、その対策は極めて難しいものでした。数時間に及ぶ入国時検査を終え、疲れ果てた選手を千葉県にある成田空港から静岡県富士市へと移送。合宿中もプールや宿泊ホテル内の所定区域でしか活動できないという「バブル措置」が採られました。

 
選手たちは厳しい状況下の中でも決められたトレーニングを淡々と行い、オリンピックへと備えました。ホテルスタッフは食事を出すにも直接選手と触れ合えない、毎日朝にはPCR検査を必ず実施するなど、まさに異例な状況下での合宿でありました。

 
それでも外部からさまざまな差し入れが届き、高い満足度を得られた合宿となりました。なかでも、地元の農家から提供を受けたメロンは好評。お茶農家さんからの提供による「富士の緑茶」は、お土産を買いに行くことが許されなかった選手たちが競って手にし、スイスへと持ち帰りました。

21年合宿での一コマ