東京五輪のキャンプ地探しに難航

ヒストリー
2023/06/01

スイス側はかねてより、東京2020オリンピックで事前キャンプができる東京近郊のプール施設を探していました。ところが、ロケーションや施設水準がチームの希望と見合った場所がなかなか見つからず、キャンプ地選びは難航していました。

 
2018年初春、スイス水泳連盟がキャンプ地探しに困っているという情報が静岡県関係者のもとに届きました。県関係者はスイスチームとの調整を進め、チーム代表者との面談に挑みました。

 
同年3月、現地在住のキャンプ誘致コーディネーターがスイス・チューリッヒを訪れ、関係者と接触。面談の結果、チームが静岡県内にキャンプ地を求めていることがわかり、スイス側の求める水準を満たすプールが利用できるよう調整を開始しました。

 
ところが、静岡県内にあるオリンピックの競技水準を満たす温水プール施設は静岡市・浜松市・富士市の3か所にしかありません。数週間にわたる合宿の期間中、一般利用や各種大会の実施、あるいは合宿地として使いたいと希望している他の外国チームとの調整もあり、難問が山積していました。

 
実施までに数多くの困難が想定されたスイス水泳チームの合宿誘致ですが、スイスは「五輪の故郷」といえる国です。近代五輪の提唱者であるピエール・ド・クーベルタン男爵はフランス人ですが、五輪関連の中枢施設といえる国際オリンピック委員会(IOC)事務局はスイス・ローザンヌに置かれていることや競技・種目ごとの国際運営団体の多くもスイスに集中している背景から、スイス代表チーム誘致のメリットは大きかったといえるでしょう。