念願の五輪メダル獲得が実現

オリンピック
2023/07/01

コロナ禍に翻弄され、1年の延期を経て実施となった東京2020オリンピック。開幕前の2021年7月に行われた富士市でのスイス水泳連盟による事前合宿は、選手とスタッフ計15人が参加し、8日間の日程で静岡県富士水泳場を舞台に行われました。

 
合宿中は感染拡大防止の観点から、外部の人々はもとより、ホテルスタッフとの接触もできないという異例の「バブル措置」が導入されました。息が詰まるような環境での合宿でしたが、選手らは淡々と練習に励み、やがてオリンピックの選手村へと向かって行きました。

 
スイスの水泳選手団、特に競泳陣は東京の地で目覚ましい結果を残しました。なんと念願のメダルを獲得したのです。色こそ「銅」が2つという結果でしたが、スイス競泳界に1986年以来となるメダルをもたらしたことは大きな成果です。

 
最も大きな期待がかけられていたのは、ジェレミー・デプランシュ選手でした。2019年に行われた世界水泳選手権(韓国・光州)では、男子200m個人メドレーにおいてスイス新記録で銀メダルを獲得。東京でも順調に決勝まで駒を進めたデプランシュ選手は、光州で金メダルを譲った瀬戸大也選手を最後の最後で大逆転。100分の5秒差で3位に滑り込み、銅メダル獲得となりました。当時の専門メディアはこの状況に対し、「デプランシュ選手はレース全体を通して4位の位置にいたが、最後に瀬戸大也をかわした。2019年世界水泳選手権の再来を思わせたが、オリンピックでは雪辱を果たした格好になった。」と伝えています。

 
もうひとつのメダルは、男子100mバタフライでのノエ・ポンティ選手が銅メダルを獲得しました。絶対王者のケーレブ・ドレセル選手(アメリカ)、不敗が続いていたクリシュトフ・ミラク選手(ハンガリー)といった強豪にこそ敗れたものの、3位という結果は驚くべき成果といって良いでしょう。

 
そのほか、スイス選手は合計8種目でスイス国内記録を更新しました。わずか1人のエントリーとなった飛込では、女子3m飛板飛込でミシェル・ハイムベルグ選手が決勝まで駒を進めました。最終的に11位となりましたが、スイス選手のオリンピック決勝への到達は過去最高の成果といっても良いでしょう。

 

選手村へと入るスイス競泳代表

 
合宿終了後、富士市の小長井 義正(こながい よしまさ)市長とのビデオ面談に応じたマルクス・バック総監督は「安心安全な環境のおかげで良い成績を残せた」とコメントしています。